あのイーハトーヴォのすきとおった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市、郊外のぎらぎらひかる草の波。

MacがWindowsに勝っている点として、フォントレンダリングだけは認めざるをえない。
といってもMacが格段に優れているわけではなく、Ubuntu(というかGnomeやKDEのようなリッチなデスクトップ環境)なんかもきれいだし、こっちのほうが細かい調節もできる。ただWindowsだけがいつになっても改善しないだけであって。
一応WindowsもCleartypeというフォントを綺麗に表示する仕組みが入っているらしいけれども、ほぼ欧文フォント専用であるという。メイリオにはきいてるらしいけど。

世の中にはMactypeというWindowsでのフォントレンダリングを改善するフリーウェアがあって、これを使うことで格段にきれいにすることはできる。
とはいえやはりフリーウェアの限界かちょっと動作に怪しいところがある。管理者権限どうこうで設定変更ができなくなることが多々ある。
とはいえ、設定可能範囲が広く扱いやすいのでgdippをつかっていた人はMactypeに切り替えることをおすすめする。もちろん、何もそういうのを導入していないという人は一度使ってみるべき。
ちなみに、このMactypeは中国産ソフトウェアである。やはり主に漢字圏がWindowsのフォントレンダリングに苦しめられているということだろうか。

  


Windowsはフォントレンダリングが汚い上に長い間フォントそのものもMS明朝/ゴシックという「とりあえず」感のあるフォントしか同梱してくれなかった。Windows VISTAでメイリオが新たにUI用フォントとして加わったが、これはディスプレイ専用として作られたフォントといって過言ではないだろう。
Windows8系になってようやく游ゴシック、游明朝という2つのディスプレイ表示にも印刷物作成にも耐えうる「まともな」フォントが導入された。

游ゴシックも游明朝も個人的にはかなり個性がつよいフォントだと感じている。 特に游ゴシックは明るく楽しげな雰囲気?がただようメイリオなんかとちがって暗い印象がある。よくできた書体であり、かなり古風な印象を受ける。DTP以前の写植で使われていたフォントに形が近いものがあり、昔の印刷物に使われているフォントと形が似ているのも理由だと思う。
明朝体は明朝体であること自体が個性に感じられてしまうため、各フォントそれぞれの違いはゴシックに比べ相対的に目立たなくなっている気がする。それでも游明朝も格調高く古風な感じを受けるフォントであると思う。

一応フォントの可読性についての議論があり、ゴシック体で太字は目を引く一方で長文になると読みづらく、明朝体で細字であれば文字自体の存在感が薄れ長文も読みやすいという。(ただし、最近の若い子たちは小さいころからゴシックのほうが見慣れているというのはあると思う)
一応僕は読書を良くする方だということもあって(世間の平均に比べたらね)明朝のほうを読みやすいと感じているだろうと予期した。そして少しでも眼精疲労の予防になればと明朝に変更してみることに。
というわけで、数日前ブラウザの規定フォントを游明朝に変えた。
ページ自体のフォント設定を無視するようにしたので、相手がどんな指定をしてこようと基本的に游明朝で表示されるようになる。

すると、思わぬ副作用が。眼精疲労が軽減されたかという主作用のほうが実感できていないのに…。
先ほど述べたように、游明朝はMS P ゴシックなんかと違ってかなり上品なフォントである。そんなフォントを使ってこのブログのくだらない投稿を書いたり虹裏のどうでもいいスレを覗いていたりすると、なんだか申し訳ない気分になってしまうのだ。自分が表示を要求したくだらないテキストを表示してもらうために、こんな上品なフォントを使ってくれるなんて…という感じである。


僕は普段からホラ話をしまくっているんだけれども、たまにそれをまともに受け取ってしまう人がいる。そんなとき、こっちはあわてて謝りつつそれは嘘だと訂正するはめになるのだが、それと感覚的には似ている。こっちは真面目に言ってるんじゃないんだから、もっと笑ってくれていいところなんだYO!、と。
時間を測ったわけではないので体感にすぎないが、大して興味もないようなページをヌラヌラ巡回するようなネットサーフィンの時間が短くなったような気がする。

裏を返せば、フォントを変えるだけでこんなにも見方が変わってしまうのか、ということにもなる。フォントによってコメントの口調が微妙に丁寧になったり、逆にくだらない悪趣味な冗談が思いつきやすくなったりという効果があるのではないだろうか?フォントの読みやすさだけでなくそういうところを誰か調べたら特徴的な結果が出るかもしれない。

そして、いつも余計なネットサーフィンに時間が吸い取られてしまうという人は、フォントを明朝体に変えてみよう。きっと少しはましになるはずだ。保証はしないが。