厩戸皇子に続け

新聞を適当に流し読みしているときに、ふとある単語が脈略なく頭に浮かんできた経験はないだろうか。
そういうときは大抵紙面をくまなく探せばその単語がどこかに隠れているはずだ。
人間の視野というものは以外と広く、目をまっすぐ前に向けている状態でもほぼ真横に何かがあれば「なにかあるな」程度ではあるが見えてしまう。
しかし、あくまで見えているだけで、見ているわけではない。

これは文字の例を考えるとわかりやすい。

たった今、この行に注目しているわけだが、その視点を動かさずにここから6行ほど下にある文字を読むことはできるだろうか。文字らしきものが有るというのはわかるだろうが、何が書いてあるかは読めないだろう。


同じようなことは音声の場合にもいえる。
カクテルパーティー効果という言葉を知っている人も多いと思う。周囲に何人もしゃべっている人がいるとき、自分が注意を向けている発話の内容はしっかり聞き取れ、それ以外の発話は音としては聞こえているが、意味のある言葉には聞こえておらずうにゃうにゃうにゃ~という感じでしか認識できないというやつである。

しかし、この話しには実は続きがあるのだ。
左右からそれぞれ違う音声のながれているヘッドフォンを被験者につけさせ、どちらか片方に集中してくださいと指示を出す。すると先ほどのカクテルパーティー効果で、その注意するように指示したほうの音声の内容については聞き取れているが、そうでないほうはほとんどなにも聞き取れていないという結果がでたそうな。

しかし、注意を向けさせたほうではないほうの音声にその人の名前をまぜると、注意を向けていないほうから自分の名前が呼ばれたというのは大体認識できるそうなのだ。

これはどういうことか。我々はさまざまな知覚情報を感覚器官から得ている。しかし、それらすべてに反応していたら「意識」ちゃんはそこまで頭がよくないので処理能力が追い付かなくなってしまう。そこで意識ちゃんのまわりのオトナたちが大事なものだけを処理させておいて、他のは見なかったこと、聞かなかったことにしてしまうのだ。
自分のことではあるが、我々は知らないだけで見ているよりもずっと多くのものが見えているし、聞いているよりもずっと多くのことが聞こえている。

かのスティーブジョブズがなんであんな革新的な製品を産み出せたのか、それはたぶん若い頃にLSDをキメることができたからだ。LSDといえばイエスだかニューナルコだかのイニシエーションに使われたことで有名だが(?)その効果はこの意識ちゃんに何を渡して何を握り潰すか決める「無意識」審判を休ませて、本来なら破棄されているはずの情報も含めて得た知覚をそのまま意識に流し込めるようにするというものである、と経験者は語る。

意識ちゃんは普段しっかり守られていて、広い世界を知らないのにすべて知った気で「ヨノナカってこんなものよね」と思い込んでいるのだが、そんなマトリックスのなかで育った箱入り娘に現実の厳しさを叩き込んで、精進せねばと思わせることができるということだろうか。

以上の事柄を考えると、一度に十人の発話をききわけることのできた聖徳太子は何らかの薬物を使って能力を強化していたという結論に達せざるを得ないだろう。
 LSDは名前こそ超ケミカルだが、麦角アルカロイドの一種なので近いものが自然界に存在する。Wikipediaによれば古代ギリシャでも幻覚剤として儀式に使われていたそうである。
 なので、聖徳太子が服用していたとしてもおかしくはない。

ステーブ・ジョブズ、聖徳太子に続く人材を排出するためにも、日本ははやくLSDの麻薬指定を解除し、むしろ国民に配布するべきだろう。



ちなみに言っておくと、ぼくは違法薬物に手を出したことはないです。(今流行のハーブを含み)