株式会社ドワンゴを退職します

ふつうこういうのって普段からエンジニアリングのことを書いているブログでやるものだと思うんですが、いいよね?

入社にいたるまで

ドワンゴには2016年に新卒入社しました。 修士課程1年のときにプログラミングってちょっとおもしろいかも?と思って、その勢いで就職活動をしていました。当時は人と人とのコミュニケーション的なところに興味があったので、そういう軸で選んでドワンゴに入りました。

はいってから

入ってからはまず一年半、N予備校のバックエンド開発をしていました。

www.nnn.ed.nico

その後一年間、現在絶賛実験中のニコニコQの開発にはいりました。(バックエンドもフロントエンドも両方やった)

q.nicovideo.jp

技術職の場合、大企業に入るとまわりにいろいろな専門家がいて刺激になりますね。二年ちょっと、とても成長できたと思います。

また、世間的なエンジニアのイメージとは違って?(かな)アウトドアにもいろいろ行きました。スキーも部署の同僚たちと15年ぶりくらいに行きましたね。

しかし

テック業界(Web系といっちゃうとちょっと狭くなるしこの表現をつかってみた)で実際に働いてみて、だんだん思うようになってきたこととして「人と人とのコミュニケーション」みたいなところはそこまで自分のやりたいことではないんじゃないかなぁと感じはじめました。

ドワンゴのポリシーは「ネットに生まれて,ネットでつながる」だったり、ニコニコ宣言というのに

第三宣言 ニコニコはネット上に人間本位の仮想世界を構築することを目指します …(中略)… われわれはもういちどネットを人間同士のコミュニケーションの場として再構築することに挑戦します。

といったものがあったり。

一方で自分は人間のコミュニケーションよりも、機械同士が情報のやり取りをして、人間が余計なコミュニケーションをしなくて良くなるためのインターネット(+その他の技術)を志向していきたくなっています。 この時点で、「音楽性の違い」的なものが生まれてしまっていたわけですね。

まず、今の時点で暇な時間ってだいたいスマホ見てるじゃないですか。これ以上パイが大きくなることはないのではないでしょうか。 大きさのきまったパイをmixiからFacebookが奪ってTwitterからInstagramが奪って…みたいな。

もちろんネット上でのコミュニケーションに携わることを否定したいわけじゃないですが、自分の好みとしてはまだ荒涼としたフロンティアでしかないブロックチェーンの世界を開拓して行くほうがいいなと。

自分のバックグラウンド

ちょっと話はかわって…。

大学・大学院時代に在籍していた研究室のテーマは計算社会科学といったもので、複雑ネットワークとかマルチエージェントシミュレーションをやっていました。 社会のルールがこうだったら、人々へのインセンティブ設計がこうだったら、社会はこういうふうに変わるよねというのをシミュレーションで探るような研究といえばよいでしょうか。

シミュレーションを実行するのにプログラミングのスキルをつけてきたのはたしかですが、特にこの研究ってドワンゴでの仕事には生きていなかったなぁと思っていました。 でも、正直この知識が生きることって有るのだろうかと思っていたのも事実。なので、お恥ずかしい話あんまり研究はやる気を持って取り組めていませんでした。

鳥海研究室|東京大学工学系研究科システム創成学専攻

自分の指導教員は退官されてしまいましたがこの研究室にいました。

社会環境

ここ数年、ブロックチェーン暗号通貨が一般の人口に膾炙するようになってきています。 ちょっと興味を持って僕も本を読んだりし始めたのですが、「あれ、この世界ってまさしく学生時代やってきた学問領域が必要とされていないか??」と感じました。

ビットコインのPoWのような利己的なエージェントが唯一の信頼できる情報源を「創発」的に作り上げるさまなど、自分のいるべき場所はここしかないじゃん!と思うようになりました。

ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

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定番ですが

転機

その思いは誰にも言わずにいたのですが、なんという偶然か、高校時代の友人からブロックチェーンでスタートアップやるけど来ない?という誘いを受けました。 割とその文面を見た次点で気持ちが固まっており、二つ返事で行くといってしまいました。

ただ、当時開発中だったニコニコQが世に出るまでは待ってほしいと。

自分の価値

今、Webエンジニアは引く手あまたです。だからトップクラスのエンジニアじゃない自分でも、(条件は悪くなるかもしれないが)今なら多分すぐに働き口はあるだろうと思っています。 しかし、今後供給はますます増えていくでしょうし、ただプログラミングができるエンジニアの価値というのは下がっていくでしょう。

そう考えると、冒険するなら早いほうがいいというのは明らかです。仮に次のスタートアップが1年でバイバイということになっても、まー職探しはなんとかなるんじゃないかと。

でもこれが5年後とかだと、日本のIT業界は死滅しているとかありうるかもしれないですよね。

というわけで

8月から、次の会社でやっていきます!!

atcoin, inc