我が家の掃除機の歴史的弁証法

最近、コンパクトな掃除機が我が家にやってきた。

シャープ コードレススティッククリーナー ピンク EC-AR3S-P

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もともとうちにはMieleというドイツメーカーのばかでかい掃除機があったんだが、これはもともと両親には不評であった。 買った当時はまだ僕が学生で、家の掃除機がけは主に僕が担当していたので、僕の希望が通ったものだった。

国産輸入品とわず、いまの掃除機はヘッド部分に回転ブラシがついているのが普通だが、あれがメンテナンス面倒なのでブラシがないものがよかったのである。 取り回しがしづらいのは確かだが、ヘッドが大きく吸引力が強いので同じ面積を掃除するのに必要なストローク数がすくなくすむという強みがあった。 オプショナルな部分だと、パワーに比べると音がとても静かという特長もあった。

だが、僕も働き始めてこれまでのように平日朝に掃除をしてからでかけるということができなくなった。 そこで導入されたのがロボット掃除機である。

こいつを朝起きて立ち上げておけば、人間が朝ごはんを食べている間に掃除が済んでしまう。 あとは月に1回くらい部屋の角やエアコンのフィルター、棚板などロボット掃除機ではとどかないところを掃除機かけすればOK。 これらのところはロボット掃除機が直接掃除できないのだが、床面部のホコリが毎日回収されることで部屋の角にたまるホコリもすくなくなる。 なのでかける頻度は少なくてもすむようになる。

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このロボット掃除機の登場によって、Mieleの得意としていた床面をはやく掃除できるという利点が我が家のニーズとはマッチしないものとなってしまった。 それよりも、今までは掃除機にとって副次的なタスクとみなされていたタスクが掃除機に対する主要なニーズになった。

それにはMieleのでかくて強いという利点はあまり生きない。スティッククリーナーみたいなので充分なのである。 ジェット機のような甲高い音がするし、ヘッドも小さいので部屋全体を掃除するには大変。でもロボット掃除機とうまく得意分野が違っているのでちょうどいい組み合わせなのである。 逆に言うと、ロボット掃除機がなければこういうスティッククリーナーはうちには機能不足で選択肢には入っていなかった。

という顛末を追って、つい先日最初に紹介した掃除機が登場したということである。


こうして振り返ってみると、掃除機の歴史が人間社会の歴史にも似ていて面白かった。

破壊的イノベーションによって今までと違うニーズが生まれ、これまで幅をきかせていた産業が廃れて新しい産業が生まれてという。

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