「スター・ウォーズ エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」

https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/p/p/c1/c4/170090_04.jpg

新年はじめの投稿ということで、新年すぐに見てきた「スター・ウォーズ エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」を見てきた。

総括すると、物語としては相変わらず破綻していたけど、見ている間おもしろかった。


www.k5trismegistus.me

↑ 「最後のジェダイ」を見たときの感想


これ以降はネタバレがあるので注意。

そもそもの話、前作の「最後のジェダイ」があの出来だったので当初から期待はしていなかった。 いや、最後のジェダイも「面白く」はあったんだけれども、言うならば昔のMAD(という言葉ができる前の)の「ドラえもんエターナル」みたいな面白さだった。 もうあそこまでいくとどうスター・ウォーズが壊されるんだろう、とワクワクするくらいメチャクチャな出来だった。


ドラえもんエターナル1

今作はメチャクチャさはちょっとなりを潜めて、ジョージ・ルーカスのスター・ウォーズに媚びるような感じになっている。 その甲斐あって見ていると旧作を思い出させるのだが、それがエピソード7ほどモロじゃなくて自然になっている。なので懐古できる楽しみがあってよかったという具合だ。


というわけでツッコミどころを。

  • クローン技術が闇の技術とかいわれる点

クローン大戦は?

  • シスが大々的に団体を作っていた点

シスは常に師匠と弟子2人というダース・ベイン以来の伝統はどうした。これは「ファントム・メナス」でも言及されるから正史のはずである。

  • 連続ハイパースペースジャンプ

ハイパースペースへのジャンプは航路の計算に時間もかかるし、障害物の近くではできないはずだ。 さらにいうと、ハイパースペースに入ると追跡できなくなるというのもどこかで言及されていたはずなんだけれども。

  • 相変わらずひどいキャラクターの使い捨て

ハックス将軍って、エピソード7ではカイロ・レンとキャプテン・ファズマに並ぶ「ファースト・オーダー」の3巨塔だったはず。 そいつが裏切るって結構大事なはずなのだが、一瞬で退場してしまう。前作のキャプテン・ファズマもひどかったが。

その他新キャラクターたちも薄くてひどい。

  • 意味のないC-3PO記憶消去

C-3POにプログラムで禁止事項に設定されているシス語の翻訳を行わせるため、C-3POの記憶が消えてしまう処置を行う。

レイアが今作死んでしまうのだが、ルーク・レイア・ハンの三人がいなくなり、「人語」(スター・ウォーズ世界で言うベーシック)を話すかつての主人公キャラクターはC-3POだけになっていた。 なのでそのシーンを見ているとき、「そこでC-3POの記憶が消されるということは、「ルークの時代」が遠くに消えてしまうことを象徴しているのだろう」ということをブログに書くんだ!と思っていた。(よく考えると、エピソード3時点でも一回消されてるんだよね笑) しかも結構このシーン自体感動的で、C-3POがこういう感動的なシーンを担うのかぁと感慨深かった。

でも、その後R2-D2に定期バックアップされていた記憶を書き戻され、いつものC-3POに戻る。これはまじではぁ?と思った。

  • 「レイ・スカイウォーカー」

レイが実はシーヴ・パルパティーンの孫だったということが判明する。 しかしレイは祖父とは違い善の心を持っている。そこで本編中さんざん「大事なのは血統じゃない、もっている心だ」ということが語られる。

本編ラスト、ルークとレイアのライトセーバーをかつてルークがラーズ夫妻と暮らしていた家に置きに行くのだが(ここも、レイアはこの場所関係ないやんという)、タトゥイーンの現地民に「ここに人がいるなんて久しぶりだ、お前は誰だ?」と聞かれる。

すると、レイに向かってルークとレイアの霊体が微笑みかけ、レイは「私はレイ・スカイウォーカー」という。

???

スカイウォーカーって別に高潔な精神を持っている称号とかではなくてただの名字なのでは、、、。 名前は「レイ・パルパティーン」でよかったのでは?と思う。だって名前よりも持っている精神が大事なのだから。


しかしこう見ると、ジョージ・ルーカスの作った6作品って結構よくできてるんだなぁと思う。特に「ファントム・メナス」はシリーズでもトップクラスに評価が低いが、公開順のなかで位置づけると結構いいものだなぁと思う。というか、1,2,3は不当に低い評価を受けていると思う。

ルーク3部作のあとで「ファントム・メナス」を見ると、「え、こんな可愛い子がダース・ベイダーになるの!?」というのがまず驚き。銀河帝国も影も形もないし、パルパティーンだってただの一人の政治家である。アナキンがダース・ベイダーになるという答えを知った上で、どうしてそうなる!?という過程がちゃんと気になるようになっている。

もちろんスター・ウォーズは大衆娯楽SF映画なので、ご都合主義でできあがっている。 でも、大衆娯楽SF映画の割にはシーヴ・パルパティーンが皇帝の座を手に入れるまでの過程が丁寧に描かれていると思う。

もともと銀河共和国はゆるやかな連邦制で、共和国自体が軍事力をもっているわけではない。しかもジェダイ騎士団だけで平和が長いこと続いているので、あらためて軍備しようという風潮もないし、議会でも支持を得られない。 だから、「ファントム・メナス」時点の共和国を支配したところで金銭欲を満たすくらいはできるかもしれないが、銀河を支配するといった野望は満たされない。

そこで、マッチポンプで一大危機を引き起こし、共和国が軍隊を持ったほうがいいよね、という風潮をつくりあげる。そして、あらかじめ仕込んでおいたクローン軍団を「共和国グランドアーミー」として認めさせてしまう。「サイフォ=ディアス、先見の明あるやん!」という具合に。 で、支配すべき共和国が十分に強力になったら、目の上のたんこぶジェダイたちを「将軍」という名目で各星々に分散させ、クローン軍団でも確実に仕留められるようにしておく。

ここまで準備が出来上がっての「オーダー66」である。そして見事強力な銀河帝国を作り上げることができたわけだ。一応、なんであれだけ強力な帝国軍を作り上げられたのか説明されている。

比べてみると、「ファースト・オーダー」やら「ファイナル・オーダー」がどうやってあれだけの組織を作り上げたのか。 特に「ファイナル・オーダー」はひどい。 シスの魔術を使ってゾンビが操る幽霊艦隊とでもいわれたほうがまだ説得力がある。 エクサゴルのシス崇拝者たち、ファイナルオーダー艦隊の乗組員たち、あんなに仲間がいるのに、気づかれないわけがない。宇宙船だって誰が作るのか。


でもまぁ、こんなにいろいろ言いたくなってしまうってやっぱりスター・ウォーズって面白かったんだなぁと思う。ジョージ・ルーカスのつくったものがね。