Shuttle Pro V1 レビュー

破格の値段で入手したShuttle ProV1であるが…いまいちその本領を発揮できていない。

ジョグはいいのだが、シャトルが問題なのだ。
(ジョグ:くるくる回す部分。iPodのホイールに物理的実体があるものと考えればわかりやすい。というか昔は実際にジョグがついてたんだよね。
シャトル:ジョグの周りについているリング。これは回転ではなく傾き角度で入力。)

ジョグの方に何かキー入力を割り当てれば、一クリックぶんまわすごとにその入力がなされる。マウスホイールと同じく早く回せば早い連打、ゆっくり回せばゆっくり連打というわけ。

一方シャトルのほうはそうではなく、7段階の傾きそれぞれに別々のキーを割り当てることになる。
このシャトルが想定している使われ方は早送り・巻き戻しだとおもわれる。実際昔うちにあったビデオデッキもジョグの方はコマ送り、シャトルは早送り・巻き戻しだった。
すこし傾けるとわずかな早送り、目一杯傾けるとすごい速さで早送りだったと記憶している。

VLCのホットキーには速度が何段階かにわかれた早送り・巻き戻しがあるが、 そういうのに割り当てるのだろう。
同じように、くビデオ編集ソフトで使うぶんにはソフト側にそういう機能を実現するホットキーがあるのだろう。


そんな感じで割り当てられるのはマウスとキーボードのキー入力のみ。(キーボードの方は複数同時押しくらいはできるが)
一秒間にn回連打、とかのオプションもあるものの、ちょっと物足りないという感じ。

このデバイスは動画編集だとかDTMだとかそういうソフト専用で、他の用途に対応させる必要などないだろうとContour的には考えたのかもしれない。
が、ちょっっとそれはもったいなくない?

仕事でしか使わないし、仕事場においとくだけだというならともかく、自宅で趣味の映像編集に使う人もいるだろう。
そういう人たちの机には常にこいつがのっていることになるのだし、映像編集以外では働きませんよ。というのはスペースがもったいない。そこで欲しくなるのがマクロ機能だ。
貴重な机の上のスペースを専有しているのだから、他の用途でもぜひ働いてほしい、と思うのが人情だろう。
マクロ機能が実装されれば、本来の目的で使っている人にとっても有用なはずだ。

そう考えると、せめてマクロは組めるようにしてほしいなぁと思う。ドライバは現行機種のものとも共通なのだから、2001年(Shuttle Pro発売)から今までずっと開発が続いていたはずだ。
十年以上開発を続けているのだから、マクロ機能くらい付ける暇があったのでは?と強く言いたい。
(ここまで書いておいてなんだが、V2のほうはできるらしい。ボタンが2つ多いだけじゃなくて、こんなところで差別化されていたのか!)

話は逸れるが、IBMもCAD用キーボードを出している。

IBM ファンクションキーボード


 ただキーが並んでいるだけのこいつ、7万円以上する。
メカニカルキーを使っているとはいえ、いくらなんでも高すぎじゃないだろうか。
DJ機材だとかみたいにキーボードやマウスの信号とは違う信号を出しているのかもしれないが、レビュー文をみるに普通のキーボード入力を割り当てる製品のような気がする。

だったら、Razer Orbweaverもメカニカルキーを使っているが半額どころか1/3、1/4くらいの値段で買える。

Orbweaver

デザインもエルゴノミックだし、よっぽどこっちのほうが使いやすそうだ。
前述のIBM ファンクションキーボードもた一対一対応の入力しかできないようなドライバしかないと思う。(さすがに買えないので詳細はわからないw)

ビジネスで使うには信頼性が…とか言うかもしれないが、Razer NostromoやLogitech G600を使っていてブルスクを起こされたとかOSが起動しなくなったとかパソコンが爆発したとかいう経験はないし、聞いたこともない。せいぜいせっかく作ったプロファイルが突然いなくなった程度である。(G600のほう)
そもそもゲーミングデバイスだって、信頼性がなければ売れてないはずだ。

Razer、Logitech、Mad Catzあたりがゲーミングデバイスのノウハウを生かしてCADやビデオ編集などの機材業界に参入すれば、あっという間に席巻できるきがするんだけど、どーなんでしょ。
というか、すでにあるデバイス用にAutoCADとか用のプロファイルを作るだけでも充分な気がする。

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そういえば、LogitechのG700は海外ではゲーミングマウスとして売りだされたのに、日本では最初クリエイターなどのためのプロフェッショナルマウス、みたいな感じで売りだされてたはず。ゲーミングデバイスがゲーム以外でも優れたパフォーマンスを出すというのはいろいろな人が言っているが、メーカー自身もそれを知っているということの証拠だろう。)
どうしてこの方向にもっと注力しないのだろうか?

ゲーミングデバイスがどうして「プロフェッショナル」な用途で広まらないか。その原因の一つがプロファイルだと思う。
そういうプロフェッショナルなデバイスとしてはShuttle Proの他に3DconnexionのSpace Ball 5000も持っているが、 両方共ドライバをインストールすればPhotoshopやAfterEffects、AutoCADなどに対応したプロファイルが最初から入っている。
ゲーミングデバイスをそういうプロフェッショナルなソフトで使おうと思うと、一からプロファイルを作り出さないといけないが、それが結構高いハードルになっているのではないだろうか。